「犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える」を読む

 2011-10-28
「犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える」
犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える (光文社新書)犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える (光文社新書)
堀 明

光文社 2011-02-17
売り上げランキング : 64076

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

自分が「堀 明さん」の本を始めて読んだのは、
「犬は「しつけ」で育てるな! 
 群れの観察と動物行動学からわかったイヌの生態」
と言う本でした。
発行されたのは2007年・・・
当時は「いぬのきもち」と言う雑誌を始め、
アルファ・リーダー論によるしつけが大全盛だった中、
本の中で藤井聡先生を名指しで否定されていたのにはビックリしましたし、
「「リーダーウォーク」や「ホールドスティール」は間違っている!
 「権勢症候群」や「支配性」と言う言葉で
 犬を服従させるのは許されない」
なんて言う人も居なかったので衝撃を受けましたが、
内容として、否定はするけどどうすれば良いのか?と言う代替案が弱く、
結局、犬は犬に教わるのが一番と言う内容だったと思います。

ーで、「犬は「しつけ」でバカになる」の方はどうだったかと言いますと、
スタンス的にはあんまり変わらないかな?
前半はパピーミル(仔犬工場)やペットショップで犬が売られるまでの悲惨な流れ、
悪徳ブリーダーの事などが丁寧に書かれてあり、
時々、?と思う所はあるものの、
犬の実情を訴えると言う面では良かったと思うのですが、
第2章の「問題犬はこうして生み出される」の中で、
「なぜ、ドッグランで事故が起こるのか」が書かれているのですが、
この内容にはちょっと唖然・・
ドッグランで暮らす6頭のゴールデンの中に、
観光を兼ねてパピヨンを連れた飼い主が遊びにやって来たのですが、
そのパピヨンに対してゴールデンが突然、襲い掛かり、
首に噛み付いて振り回したそうなんです・・
そこで堀さんは
「このパピヨンはペットショップで購入された犬で犬社会を知らなかった為、
 犬の中で育ったゴールデンから犬としての見て貰えず、
 未知の侵入者がなわばりに侵入してきたとして攻撃された」
と解釈するのですが、それってパピヨンが悪いって事?
社会化ができていない犬が原因でトラブルを起こす事はありますが、
普通、犬は無視するか、一喝して終わりです。
このように犬が犬に対して攻撃するのは、
ゴールデンが群れになった事により、
リミッターが外れてしまったのが原因・・
人間も1人だと弱いのに、仲間と一緒になった途端、
強気になって集団で暴行するなど攻撃的になってしまうのと一緒だと思います。
それでも、ゴールデンがパピヨンに対して攻撃したのは飼い主の管理不足だし、
認識が甘かったせいだと思います。
「犬は「しつけ」で育てるな!」で、社会化不足の犬が次の日に
仲間に殺されていたと言うのを読んだ時にも感じたのですが、
堀さんは多頭飼いを推奨していますが、犬が犬を殺す事自体、
異常な状況・・管理ができていないと言う事では無いでしょうか?
果たして、犬を怖がったり犬を見たら逃げる犬と、
犬の中で暮らし社会化ができているにも
関わらず犬を襲ってしまう犬とどちらが望むべき犬の姿なのでしょう?
どちらにしろ、人間はそうならないようにきちんと犬を管理するべきですし、
喧嘩をしないように教え、導いてあげるべきだと思います。
逆に「犬の狩猟本能だから仕方が無い・・」と言うとしたら、
それこそ、犬を下等な動物として見ているのでは無いかと思ってしまいますし
どちらにしろ、ドッグランの看板犬に襲われたのに、
「襲われたあんたの犬の方が悪い」なんて言うような所には行きたくありません。

その後も色々と「?」がありつつ、
第4章の「「しつけ本」にだまされるな」に入るのですが、
ここでは「ザ・カルチャークラッシュ」を例にしつけ批判をしています。
堀さんは
「「人間は「報酬」や「罰」で価値観を身につけているのではない、
  書物を読む事で価値観を身につけているのだ」と書き、
人と犬は違うが、
「報酬」や「罰」で価値観を身につけると言う前提が間違っているのだから、
カルチャークラッシュなどのしつけ本は間違っていると書いてありますが、
この場合の報酬と罰は、
「勉強をしたら先生に褒められた(報酬)」
「友達の悪口を言ったら、無視されて殴られた(罰)」
などと言う経験が報酬や罰となり、
その後の思考・・価値観に影響を与えると言う意味だと自分は思うのですが、
どうなんでしょう?
その後、パブロフやスキナー・・
古典的条件付けやオペラント条件付けも犬には不要としていますが、
その理由と言うのが「犬は犬の行動を見て覚える事ができる」からだそうです。
犬は模範ができ、それが一番、覚えが早い事を多くのしつけ本は書いていない・・
と言うのですが、模範・・できますかね?
他の犬を無視する犬や飼い主を無視する犬は多いです。
おやつを持ったらおやつしか見ない・・とかね(笑)
そう言った犬はどうしたら良いのか? 
・・は、書かれていません。
この本の最終章のまえがきによると、
ペットショップで売られ、犬との関わりも少なく、しつけを受けた犬は
「「真っ当で「ない」イヌたち」」に該当してしまうそうです。
つまり、犬は犬の中で生活するのが一番・・
都会で1頭や2頭飼いをしている人が
犬の問題行動で悩んでいるとしたら、その生活スタイルが間違いだから手遅れ・・
と書いてあるようにしか思えません。

その後も「犬は道徳心を持っている」と書かれており、
その理由として犬の平等実験の結果が例に挙げられています。
これは2頭の犬にお手をさせ、片方におやつを与え、
片方にはおやつを与えない事を繰り返した所、
おやつを貰えない方はお手をしなくなるから、
犬は不平等を理解していると言う「?」な実験なのですが、
本当に「平等」が分かるならお手をしたのにおやつを与えない・・
ひいきをした人間に対して犬は怒るはずですし、
おやつを貰っていた犬も、そんな人から食べ物を貰うのを拒否するのが
本当に平等を理解すると言う事だと思うのですが、
まず、そんな犬は居ないと思います。
一方、喧嘩しそうな犬の間に割って入り、
見返りも無く喧嘩を止める犬は道徳心を持っている。と言いますが、
見返りを考えない犬が道徳心を持っているなら、
おやつが無いとお手をしない犬はどうなんでしょう?
ちなみに喧嘩の仲裁をする事は、犬にもメリットがあると思います。
喧嘩の雰囲気は怖いですからね・・
犬の多くは怖い場所から逃げようとしますが、
怖いから逆に喧嘩になる前に止めようと考える犬が居ても
おかしくは無いと思います。

あとは、寒い夜に外に居た痴呆症の老人に寄り添って、
一晩を明かした犬も道徳心があると書いてありますが、
この犬も家を脱走した犬で1人は不安だったのだと思います。
保健所の檻の中に居る犬の殆どが壁や他の犬とくっついているのは、
物凄く不安だから何かにくっついて安心したいと言う心理の表れです。
まぁ、犬に聞いてみなければ分かりませんが、
きっと老人に寄り添っていた犬も
一人は寂しかったのでは無いかと思います。

ーと言う事で、結局、堀さんは犬の不妊・去勢を反対してたり、
犬はしつけなどせずに犬の中で暮らすのが一番と言っていたりと、
典型的な「自然主義者」なのではないでしょうか?
犬は田舎の広い庭でフリーにさせ、
多頭飼いをして犬の中で育つのが一番と考えている人なので、
都会で1頭飼いや二頭飼いでしつけに悩む人が読んでも答えはありません。

タイトルも「犬は「しつけ」でバカになる」と書いてありますが、
基本的には、古典的、オペラント条件づけを使ったしつけを肯定しています。
ーが、心情的にそう言ったしつけをする事は不純・・
犬本来の素晴らしさを壊しかねないと考えるのか、
自分の都合の良い説や実験結果を持ってきて否定したり、
自分の都合の良いように曲解している為、
書いている事が矛盾している事も多いような気がします。
「犬はメリットで行動が強化される」と言う意味に対し、
犬が欲しがる物を飼い主が管理するのはおかしい。
犬が勝手に地面の匂いか嗅ぐ事も許さないのはおかしい
(そんな風には書いてないと思いますが)
と書いたり、犬への体罰や「ホールドスティール」を否定する一方で、
父犬は生意気な子犬の首を咥えて振り回したり、
仰向けにさせて服従する事を教えますと書いたり・・
「しつけをすると「バカ」になる」と言うよりは、
犬が犬を模範する事も知らないバカが書いたしつけ本を読んで実践すると
犬がバカになる・・と言いたい本なのでは無いかと思いました。

自然主義で犬寄りな生活を推奨する事を否定はしませんし、
犬が犬によって学習して行く部分は、
確かに人には入っていけない所もあると思います。
ただ、犬嫌いの犬を無理やりドッグランに連れて行っても、
犬から離れてフェンスに沿って
グルグルと歩いているだけになると思いますし、
八ヶ岳のパピヨンのように
攻撃されてますます犬嫌いになり兼ねません。

人の手によって犬嫌い・・社会性不足になってしまった犬は、
人の手によって学習させてあげる必要があると思いますし、
犬嫌いな犬を
犬とお友達にさせてあげる事ができるのもまた人間だけだと思います。
それに今は「しつけ=体罰や強制訓練」と言うワケでもありませんし、
おやつを使ったりして、犬嫌いな犬を犬と仲良くしたり、
ボディランゲージを思い出させてあげる事も可能です。
それにクリッカーなど、
犬と知的に高度なコミュニケーションを取ったり、
人と犬とのドッグダンスなどは、
犬の中で暮らす犬と人とでは絶対に味わえない楽しみだと思いますから、
人と犬の暮らしもまた、
犬同士の中とは違う楽しみを与えてあげられるのではないかと思います。
カテゴリ :わんこ本などから・・ トラックバック(-) コメント(-)

「動物と話せる女性 ハイジ」

 2011-10-14
動物と話せる女性 ハイジ ( ワニプラス )動物と話せる女性 ハイジ ( ワニプラス )
(2009/11/30)
ハイジ

商品詳細を見る

自分は動物だけでは無く、
死んだペットとも話せる
「アニマルコミュニケーター」と言うのが、
あまり好きではありません。
動物だって考えるし、感情だってありますからね・・
もし、死後の世界があるのだとしたら
死んだ後に、よく知らない人がお金を貰って
勝手な事を言っていたら嫌だろうし、
倫理的に死者の冒涜にならないかな?
なんて思ってしまいます。
まぁ、その辺は自分の意見なので、
ペットロスで苦しむ人の精神的負担を
和らげると言う意味ではアリなのかもしれませんけど・・

ーで、この本を読んでみたのですが、
内容的にはハイジさんの半生と
今まで、アニマルコミュニケーターとして活躍してきた中での
代表的なエピソードが書かれていました。

飼い主も知らない事をペットの話を聴く事で解決したりと、
凄いエピソードが次々と登場するのですが、
冷静に考えてみると、どれもこれも本当の事なのか?
こちらには確かめる術が無かったりするのです。
しかも、登場するのはペットの名前のみ・・
相談者の詳しい住所が書いてあるわけでは無いし、
もし、調べようと思っても、
プライベートな事なので相談者の住所や名前なんて
教えてくれるハズが無いでしょうからね・・
(そもそも、存在しないから教えられ無いと言う可能性も?)

本当にそう言う人が居て、
そんな事実があったのかどうか分からない・・
そう言った点では、ダイエット広告に登場する
「自分はこれで痩せました」と言う読者投稿や
健康食品の「これで元気になりました」と言うCMと同じだと思います。
テレビの「FBI 超能力捜査官」なんて言うのも、
日本のバラエティーには登場しますが、
そもそも、FBIは超能力者を雇った事が無いそうですし、
ああ言うバラエティーで発見されるのは、
匿名の佐藤さんや鈴木さん・・
本当かどうか確かめようがありません。
まぁ、たまに実際の事件を調べる事もありますけど、
一回も当たった事は無いですからね・・

ーと、言う事で、まぁ、こう言う本にありがちだけど、
信じたいと思う人は粗探しなんてしないから、
素直に信じて凄い凄いと言いますし、
信じられない人は、
そもそも、こう言う本を読まない・・
と言う事だと思います(^^)
カテゴリ :わんこ本などから・・ トラックバック(-) コメント(-)

「小さな命を救いたい」 西山ゆう子

 2010-09-29
IMG_5717.jpg

この本は日本で獣医師免許を取得したものの、
旧態依然とした縦社会、男女不平等など
数々の挫折や苦しみを経験した著者が
アメリカに渡って獣医となり、
そこで得た知識を元に日本とアメリカとの違いを
獣医の目を通して書いた貴重な本でした。

この本が初めて出版されたのが2001年・・
現在、日本でペットが殺処分される数が
一年間で約30万頭と言われていますが、
1980年代のアメリカでは、
シェルターで安楽死されるペットの数が
推定で約1700万頭だったと言うから驚きです。
(勿論、昔の日本も今以上に殺処分される
 ペットの数は多かったそうですが・・)
まぁ、日本の数倍の土地で無計画で無責任な飼われ方をしたら
そうなってしまうのも当然かもしれません。
その後、アメリカは獣医、トレーナー、トリマーさんまで含めて、
避妊&去勢を飼い主に推進すると言う動きが始まり、
国としても早期の不妊手術をしたペットは年間の登録料を下げたり、
不妊手術の費用を安くしたりしているみたいです。
中には不妊手術専門の動物病院までできたりして、
国として対策を行った為、安楽死の数は激減・・
まぁ、それでも年間で約300万頭のペットが安楽死されてると言いますから、
ドイツの殺処分0と言うのは本当に凄い事だと思いますね。

そんな国全体をあげての
殺処分数減少の動きが出ている中で書かれたこの本は、
特に不妊手術について多くの事が書かれています。
アメリカでも日本でも一度は子供を産ませてあげたい・・
ーと思うのは、やはり女性の方が多いのでは無いでしょうか?
子供にペットが子供を産む姿を見せて、
情操教育に役立てたいと思う人もいるかもしれません・・
その気持ちは分かりますが、この本に書いてあるのは
日本で年間30万頭のペットが殺されている中、
新たに仔犬を増やす必要があるのでしょうか?と言う事でした。
その子達が知り合いの家に里子に出され、
そこで幸せに暮らしているのかもしれませんが、
もし、その子を産ませなければ殺処分を待つ子犬達が
貰われた可能性もあると言う事です・・
まぁ、知らないわんこの行く末よりも
自分の愛犬の幸せを願うのは仕方が無い事かもしれませんが、
せめて外飼いなのに不妊手術をしてないばかりに
野良犬が来て子供が産まれてしまった・・
なんて事だけは無いようにして貰いたいとは思います。

それと、不妊手術のメリットですが、
本当に多くの病気を未然に防ぐ事ができるみたいです。
女の子だと・・
子宮蓄膿症
肉芽種性子宮内膜疾患
子宮癌
卵巣癌
乳腺腫瘍
出産に伴う産科疾患の予防
出産分娩に関する事故死の予防
偽妊娠の予防
膣脱症の予防
伝染性生殖器腫瘍の予防
ブルセラ病感染のリスクの減少
アトピー性アレルギー疾患の緩和
アカラス症(毛包虫症)の緩和
脂漏性皮膚症の緩和
慢性外耳炎の緩和
糖尿病の緩和
クッシング病の緩和
アレルギー性慢性気管支炎の緩和
などなど・・
特に「子宮蓄膿症」は多いみたいで、
自分の知り合いにも迷いに迷ってようやく避妊手術をしたら
「子宮蓄膿症」の一歩手前で
次にヒートが来たら危なかった・・
ーと言うお話を結構、聴きました。

男の子だと・・
睾丸腫瘍
セルトリ細胞種
肛門周囲腺腫
前立腺肥大
精巣上体腫瘍
伝染性生殖器腫瘍
ブルセラ症感染のリスクの減少
などなど・・
男の子は比較的手術は簡単で安いですし、
個人的にはヒート中の女の子に出会った時に
飼い主の言う事を一切、聞かなくなるとか
マーキングの匂いへの執着心の強さなど、
不妊手術をする事で精神が安定し、
衝動的な行動が減った事が一番、良かったと思います。

他にも不妊手術をしない理由として、
本能を奪うのは可哀想と言うのがありますが、
やはり、この本の中に書いてあるように、
人間社会で暮らす事自体、本能を我慢させる事ですし、
その度に精神的にストレスを与えるのは可哀想です。
ーかと言って、子供を作ったとしても
わんこが余っている今、貰ってくれる人が居るかどうか
分かりませんし、そんな事を悩んでいるうちにも
子宮蓄膿症になってしまうかもしれない方が怖いような気がします。
特に女の子はヒートの時だけ強い衝動に襲われるんですから、
逆に取ってしまえば、
一生、子宮系の病気のリスクを考えずに
穏やかに暮らしていけますし、
もし、子宮蓄膿症になってしまった場合の治療費と
避妊手術の費用を比べたら
平均して避妊手術の費用の方が低いと思います。
特にアメリカでは去勢手術を後回しにして高い治療費を払うよりも
早めの不妊手術と言うのが主流みたいです。
日本でも早くワクチン的な考え方が根付いてくれると良いですね。

その他、不妊手術をすると太ると言うのは、
必要なカロリーが低下しただけなので、
きちんと食事のカロリー管理をすれば問題はありません。
また、不妊治療をするとおしっこを漏らすようになる。
ーと言うのも、統計で見てみると、
実際にはそんな事は無いそうです。
不妊手術をするとアレルギーになると言うのも嘘で、
その昔、皮膚病の治療に”性ホルモン薬”が多く使われたため、
不妊治療をするとホルモンバランスが崩れて皮膚病になると
思われてしまったのが原因みたいですね。
同じくホルモンで言うと、オスがメス化。
メスがオス化すると言う説もありますがこれも迷信・・

多くの場合、不妊治療による自責の念と言うか、
飼い主さんにも後ろめたい部分が多少、ある為、
何かの病気にかかると不妊治療のせいにしたがると言うのが
本当の所かもしれません・・
ちなみにアメリカで不妊手術だけを専門に行っている病院で
行われている不妊手術の数は一日約60頭・・
アメリカ全体で言えば、物凄い数の犬猫が不妊手術を受けており、
そこで集められたデータを元に
さらなる不妊手術の進歩が今でも行われているそうです。
驚くべき事にアメリカでは生後7週齢から16週齢の仔犬や子猫に行う
不妊去勢手術を「早期不妊去勢手術」と言い、
生後6ヵ月前後に行うものは「古典的不妊去勢手術」と
言われているそうです。
つまり、早めに手術を行った方が安全で簡単、
小さいから治りも早いし、順応性が高いので
後々に残るようなトラウマなども無いと言う事で、
今では「早期不妊去勢手術」が主流なのだそうです。
(シェルターでは2ヶ月の子がすでに不妊手術を済ませて
 新しい家族の元へ貰われていくそうです)

ちなみに日本の動物病院は?ーと言いますと、
古臭い不妊去勢手術を何の疑いも無く
今でも行っている先生が多いのが現実です。
ちなみに良い不妊手術をして貰えそうな
動物病院を探すチェックポイントとして書いてあるのですが、
「前の晩から食事抜きを、あるいは水も与えてはダメ」
と言うような獣医師は
10年前の時代遅れの知識の持ち主だそうです。
(最新(と言っても2001年)の見解では
 術前、8時間程度の絶食のみで充分だそうです)

さらに「術後に今晩は食事を与えないで下さい」
と言うのも古い獣医師。
病院に獣医師あるいは助手は居るか?
と言うのも目安になるそうです。
それから手術の切開線ですが、傷口があまりにも小さいのは
卵巣だけ取っていたり、あるいは
子宮を完全に除去していない可能性があるそうです。
(卵巣だけを摘出して子宮を残すと、
 残った子宮が蓄膿症になる可能性があるそうです)
つまり小さい傷口を誇るのも古い獣医師と言う事だそうです(^^;

不妊去勢手術をする年齢についても
「1回目の発情が来た後が良い」と言うのは30年前の知識の獣医師。
「生後6ヵ月になってから」と言うのは15年前の知識の人だそうです。
(2001年に発行された本なので今では+10年と言う事?)
ちなみにこの本には生後4ヶ月くらいからOKだそうで、
なるべく早いうちに行うほうが良いそうです。

ーと言う事で、今から約10年前に出版されたこの本も
今では昔の事を知る資料的な役割の方が強いかもしれませんが、
日本はアメリカと比べると10年は遅れていると言いますから、
今の日本もこの本の頃のアメリカのように、
熱い情熱と使命感を持ち、
ペットを愛する人達が声をあげて不妊去勢手術の必要性・・
メリットなどを説いて行く必要があるのかもしれませんね?
カテゴリ :わんこ本などから・・ トラックバック(-) コメント(-)

「犬と狼」 平岩 米吉

 2010-08-15
02IMG_4136.jpg

この本は昭和17年に発行されたものを
旧仮名遣いを新仮名遣いに改めるなどしてはあるものの、
文章や内容などは当時のままなので
昭和初期の動物への考え方や扱い方などが分かって
とても勉強になる本でした。
ハイエナやジャッカル、月の輪熊などを飼った記録なども興味深いのですが、
自分が一番、気になる内容は狼についてですね(^^)
日本の狼は家畜を襲う事から北海道では明治22年・・
本州でも明治38年に姿を消し、
朝鮮の狼しか居なくなった頃のお話なのですが、
それでも狼を動物園では無く、
日本の一般住宅で飼育したお話などと言うのは
なかなか読む機会もありませんので、とても興味深く読む事ができました。
狼と言うと大きくて綺麗で強くて恐ろしくて・・
そんなイメージがありますが、
実際の狼は同じ大きさの犬と比べると遥かに体重が軽く、
半分にも満たない程度だそうです。
人間もそうですが、体格が同じなら体重が重い方が有利なので、
もし犬と狼が戦ったら犬の方が強いかもしれませんね?
まぁ、気性や野生の本能は狼の方が強いので分かりませんけど・・
でも、体重が軽いと言う事は悪い事では無く、
その分、身の軽さや持久力などは高かったそうです。
この本によると正確な数字は分からないものの、
狼は100mを8秒台で走れるのでは無いかと書かれています。
また、持久力も凄く、カナダで調べた所、
毎夜、約7kmを移動していたそうです。
また、気性の方も激しく、
ただ単にご飯を与えているだけでは、
一生、かかっても狼を手懐ける事はできないそうです。
また、犬と狼と大きく違う点は吠えない事・・
よく、狼が狩りをする時に吠えながら疾走する映像がありますが、
あれは演出で、実際の狼は
攻撃する瞬間ですら一切、声を出す事は無いそうです。

シベリアンハスキーのような狼を想像していたのですが、
実際に日本に居たのは貧相でやせ細った小さな犬のような狼だそうです。
(小田原の「生命の星・地球博物館」
 ニホンオオカミの剥製があります)
03DSCF4509.jpg

ちょっとガッカリですが、それよりも驚いたのが
当時の人々の動物に対する知識の無さ・・
まぁ、今と違って動物に関する知識を知る機会も無かったでしょうが、
動物園のライオンの檻に
キャラメルやせんべいを投げ込む人が多かったのには驚きですね。
また「狼は何を食べるのですか?」を聞く人が多く、
肉や魚、野菜やフルーツの種類の事かと思えば、
ご飯を食べるのか?パンを食べるのか?と
聞く人がとても多かったそうです(笑)
そして「狼の主食は生肉です」と教えてあげると驚き、
今度は決まって「肉ばかりを食べさせると獰猛にならないか?」
と言われたそうです。
昔は肉を食べさせると凶暴になると言う迷信が信じられていたそうです。
って、この一説を読んで、
当時の人をちょっと小馬鹿にしていたのですが、
よく考えると自分もわんこに生肉を与える事に
ちょっと抵抗がある事に気付きました。
それは生肉には寄生虫などの心配がある事もあるのですが、
でも、基本的に牛や鳥の生肉を与える事もありません・・
「どうしてだろう?」と思ったら、
自分も親かテレビか本などから生肉を食べさせると血の味を覚え、
人を噛むようになると教えられたからだと気付きました。
(凶暴な闘犬を育てる為に血肉が滴る生肉を与える・・
 と言うシーンはよく見ますからね)
でも、イギリスでわんこのトレーニング法を勉強していた人に聞くと、
わんこの食事は生肉が基本だそうですし、
もし、そのわんこが生肉で凶暴になり、
人を襲うようなら、とっくにそんな食事法は変えているだろうし、
日本でも手作り食で生肉を与えている人は居ますけど、
そう言うわんこが人を噛むようになったと言う話は聞いた事がありませんからね・・
(逆に普通のドッグフードを与えている人の方が噛まれているかも?(笑))
そうなると、生肉を与えると
血の味を覚えて噛むようになると言うのも迷信だと思いますね。
でも、昭和初期の頃ですら迷信と言われていたものが、
今の時代まで伝わっている事に驚きますし、
逆に迷信を通り越して常識として浸透している事に驚かされました。
まぁ、今はドッグフードも良くなっているので、
わざわざ傷み易い生肉を与える必要性も無いのかもしれませんが、
生肉を与えると凶暴になると言う日本独自の迷信は改めたいと思います。
しかし、常識だと思っていたわんことの接し方の中に、
実は迷信が多く含まれているかもしれないと考えると、
もう一度、自分の飼い方を考え直しみた方が良いかもしれませんね?(^^)
カテゴリ :わんこ本などから・・ トラックバック(-) コメント(-)

「幸福な犬」 渡辺 眞子(著)

 2010-07-25
IMG_3423.jpg

渡辺 眞子さんの「幸福な犬」です。
この方は「犬語でI LOVE YOU」と言う本で書かれているように、
子供の頃からわんこと共に暮らしており、
わんこがそばに居る事が当たり前の生活を送られてきたそうですが、
年齢を重ねる事でペットロスからの立ち直りが遅くなり、
もうわんこを飼う事は無いだろうと考えていた所、
母親が痩せてて食も細い
トイプードルの「くーた」を貰ってきた所から
慌しい生活が始まります。(^^)

「くーた」の出身はペットショップ・・
店内のサークルの中に沢山の仔犬が押し込められ、
汚れた床の上を仔犬が歩き、
来店したお客さんが消毒もせずに仔犬を抱きかかえ、
人間の赤ちゃんのように「高い、高い」をしても
店員さんは何も言わない・・
そんなペットショップで売られていたそうです。
アレルギーなのか耳が真っ赤になる程腫れ、
その治療の為に動物病院を何軒も巡っても一向に治らず、
最終的に動物病院について詳しいお友達に教わった病院でダニだと分かったそうですが、
不衛生なショップ・・いや、その前の繁殖屋の影響なのか、
数々の寄生虫や病気、
早期に母犬から引き離された事により、
神経質で精神的なか弱さも持っていたそうです。

わんこが居ない時期にセミナーなどできちんとしたしつけ法も勉強され、
元々、長い間、わんこと暮らしていたし、
それまでのわんこは殆ど、手がかからなかった事もあって、
少なからず自信があったそうですが、
「くーた」を通して初めての訓練士さんに教わったら、
「今!誉めて!遅い!もっと明るい声で!もっとハッキリと!」と
トーンやタイミングが間違っており、
わんこには分かりにくかった事が分かったそうです。
実際、この辺はいくら本を読んでも難しいと思いますし、
間違ったタイミングで誉めたり怒ったりすると
わんこが理解できずに混乱してしまう事もあるので注意ですよね(^^)

そんな感じで、分かっていながらも
先入観もあって昔ながらの飼い方からなかなか抜け出せずにいた渡辺さんが、
海外や動物行動学などに沿った接し方を勉強する事で
昔ながらの飼い方の問題点を発見し指摘して行く行程はとても分かり易いと思います。
ついつい人間は「かわいい」と「かわいそう」の2択で判断してしまいがちです・・
「かわいい」から人間の食べ物を与えてしまう・・
「かわいい」からなんでも言う事を聞いてしまう・・
「かわいそう」だから吠えていても止めずに吠えさせてしまう・・
「かわいそう」だからリードを外してあげてしまう・・
「かわいそう」だから歯磨きなどわんこの嫌がることはしない・・
・・とかね。
本に載ってるしつけ法とか理解しているつもりなのに
感情に負けて実践できない人は多いと思います。
その結果、肥満や内臓への負荷。
わんこが我を通すようになってギャンギャン犬になる・・
近所迷惑になってマンションに居られなくなる・・
他犬と喧嘩になったり車にひかれそうになる・・
歯周病になって早死にしてしまう事などを考えると、
目先の感情に負けずに、
これから先の長い一生の事を考えて欲しいと思いました。

渡辺さんが「くーた」との暮らしをあらためて振り返ってみた所、
「今まで飼ってきたわんこ達も人の心を理解し、
 とても頭が良いと思ってきたけれど、
 しかし陽性強化法によるレッスンは間違いなく
 大きな違いを作ったそうです。
 言い換えれば正しい方法でレッスンをしないのは、
 犬たちが持つ潜在的な能力や魅力を引き出してやらないと言う事。
 それはまた、犬と暮らす醍醐味を
 十二分に味わい尽くしていない事にもなる。
 これほど楽しい経験を知らずに過ごすなんて、
 こんな勿体無いことはない!」
と言う文章に共感しました。
もし、しつけは怖いとか可哀想とか思っていたり、
避妊&去勢が自然に反する事で可哀想と思っていたりしたら、
同じように思っていた人が書かれたこの本を読む事で
そう言う考え方もあるのかと思って貰えるのでは無いかと思いました。

この本は後半から「くーた」のお話から離れ、
現状のペットショップの問題、殺処分の問題、
ノーリードにする愛犬家と言われてる人達の問題。
ドッグフードの問題、動物病院の問題点などが
書かれていましたが、個人的に興味深かったのは
動物病院の裏の問題・・
根本的な知識や技術の習得システムについてですね。
(まぁ、その辺は長くなりますので
 是非、実際に読んで欲しいと思います)

誰でもそうですが、
自分の飼い方や考え方が正しいと思っていると
自分の行動を疑う事すらしないので
問題点に気づき難い事が多いです。
だから、わんこを飼い始めた人は勿論、
何十年とわんこを飼われて来て
今更、わんこの本なんて読む必要なんて無い。
と思っている人にこそ、読んで欲しい本だと思います。
オススメです♪ (^▼^)ノ
カテゴリ :わんこ本などから・・ トラックバック(-) コメント(-)
≪ 前ページへ ≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫