「犬と狼」 平岩 米吉

 2010-08-15
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この本は昭和17年に発行されたものを
旧仮名遣いを新仮名遣いに改めるなどしてはあるものの、
文章や内容などは当時のままなので
昭和初期の動物への考え方や扱い方などが分かって
とても勉強になる本でした。
ハイエナやジャッカル、月の輪熊などを飼った記録なども興味深いのですが、
自分が一番、気になる内容は狼についてですね(^^)
日本の狼は家畜を襲う事から北海道では明治22年・・
本州でも明治38年に姿を消し、
朝鮮の狼しか居なくなった頃のお話なのですが、
それでも狼を動物園では無く、
日本の一般住宅で飼育したお話などと言うのは
なかなか読む機会もありませんので、とても興味深く読む事ができました。
狼と言うと大きくて綺麗で強くて恐ろしくて・・
そんなイメージがありますが、
実際の狼は同じ大きさの犬と比べると遥かに体重が軽く、
半分にも満たない程度だそうです。
人間もそうですが、体格が同じなら体重が重い方が有利なので、
もし犬と狼が戦ったら犬の方が強いかもしれませんね?
まぁ、気性や野生の本能は狼の方が強いので分かりませんけど・・
でも、体重が軽いと言う事は悪い事では無く、
その分、身の軽さや持久力などは高かったそうです。
この本によると正確な数字は分からないものの、
狼は100mを8秒台で走れるのでは無いかと書かれています。
また、持久力も凄く、カナダで調べた所、
毎夜、約7kmを移動していたそうです。
また、気性の方も激しく、
ただ単にご飯を与えているだけでは、
一生、かかっても狼を手懐ける事はできないそうです。
また、犬と狼と大きく違う点は吠えない事・・
よく、狼が狩りをする時に吠えながら疾走する映像がありますが、
あれは演出で、実際の狼は
攻撃する瞬間ですら一切、声を出す事は無いそうです。

シベリアンハスキーのような狼を想像していたのですが、
実際に日本に居たのは貧相でやせ細った小さな犬のような狼だそうです。
(小田原の「生命の星・地球博物館」
 ニホンオオカミの剥製があります)
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ちょっとガッカリですが、それよりも驚いたのが
当時の人々の動物に対する知識の無さ・・
まぁ、今と違って動物に関する知識を知る機会も無かったでしょうが、
動物園のライオンの檻に
キャラメルやせんべいを投げ込む人が多かったのには驚きですね。
また「狼は何を食べるのですか?」を聞く人が多く、
肉や魚、野菜やフルーツの種類の事かと思えば、
ご飯を食べるのか?パンを食べるのか?と
聞く人がとても多かったそうです(笑)
そして「狼の主食は生肉です」と教えてあげると驚き、
今度は決まって「肉ばかりを食べさせると獰猛にならないか?」
と言われたそうです。
昔は肉を食べさせると凶暴になると言う迷信が信じられていたそうです。
って、この一説を読んで、
当時の人をちょっと小馬鹿にしていたのですが、
よく考えると自分もわんこに生肉を与える事に
ちょっと抵抗がある事に気付きました。
それは生肉には寄生虫などの心配がある事もあるのですが、
でも、基本的に牛や鳥の生肉を与える事もありません・・
「どうしてだろう?」と思ったら、
自分も親かテレビか本などから生肉を食べさせると血の味を覚え、
人を噛むようになると教えられたからだと気付きました。
(凶暴な闘犬を育てる為に血肉が滴る生肉を与える・・
 と言うシーンはよく見ますからね)
でも、イギリスでわんこのトレーニング法を勉強していた人に聞くと、
わんこの食事は生肉が基本だそうですし、
もし、そのわんこが生肉で凶暴になり、
人を襲うようなら、とっくにそんな食事法は変えているだろうし、
日本でも手作り食で生肉を与えている人は居ますけど、
そう言うわんこが人を噛むようになったと言う話は聞いた事がありませんからね・・
(逆に普通のドッグフードを与えている人の方が噛まれているかも?(笑))
そうなると、生肉を与えると
血の味を覚えて噛むようになると言うのも迷信だと思いますね。
でも、昭和初期の頃ですら迷信と言われていたものが、
今の時代まで伝わっている事に驚きますし、
逆に迷信を通り越して常識として浸透している事に驚かされました。
まぁ、今はドッグフードも良くなっているので、
わざわざ傷み易い生肉を与える必要性も無いのかもしれませんが、
生肉を与えると凶暴になると言う日本独自の迷信は改めたいと思います。
しかし、常識だと思っていたわんことの接し方の中に、
実は迷信が多く含まれているかもしれないと考えると、
もう一度、自分の飼い方を考え直しみた方が良いかもしれませんね?(^^)
カテゴリ :わんこ本などから・・ トラックバック(-) コメント(-)
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